所定給付日数とはわかりやすく解説する退職者必読ガイド

所定給付日数とはわかりやすく解説する退職者必読ガイド

所定給付日数とはわかりやすく理解する基本から最新改正まで

退職したのに所定給付日数90日のはずが、実際には1円も受け取れずゼロで終わる人がいます。


この記事でわかること
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所定給付日数とは何か

雇用保険の基本手当(失業給付)を受け取れる上限日数のこと。90日〜360日の範囲で、退職理由・年齢・加入期間の3つで決まります。

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退職理由で最大3倍以上の差が生まれる

自己都合は最大150日、会社都合は最大330日。同じ月収・勤続年数でも受給総額が180万円以上変わるケースがあります。

2025年4月の法改正ポイント

自己都合退職の給付制限が「2ヶ月→1ヶ月」に短縮。指定の教育訓練を受講すれば給付制限がゼロになる新制度も始まっています。


所定給付日数とは何か:失業保険の基本手当を受け取れる上限日数



失業保険雇用保険の基本手当)は、会社を辞めた後の生活を支えるための制度です。その「何日分もらえるか」を定めたルールが所定給付日数です。


所定給付日数とは、雇用保険に加入していた人が離職後に受け取れる基本手当の上限日数のことを指します。たとえば所定給付日数が90日の人は、最大90日分の基本手当を受け取れます。ただし「90日分の手当を90日間で受け取れる」わけではなく、ハローワークで失業認定を受けた日数だけが支給対象になる仕組みです。


つまり認定を受けていない日は消費されません。


所定給付日数は以下の3つの要素によって決まります。


  • ①退職理由:自己都合か、会社都合(特定受給資格者)か、特定理由離職者
  • ②離職時の年齢:会社都合の場合は年齢によって給付日数が変わる(自己都合は年齢不問)
  • ③算定基礎期間:雇用保険の被保険者として加入していた通算期間。加入期間が長いほど給付日数が増える


給付日数の範囲は最短90日から最長330日で、障害者などの就職困難者は最長360日です。これはカレンダー上の日数ではなく、失業認定を受けた実日数です。受給期間(離職日翌日から1年間)の中でこの日数を消化する仕組みになっています。


所定給付日数が多いほど受給総額も増えます。月収30万円の人で基本手当日額が約5,500円だとすると、90日分の受給総額は約49.5万円、180日分では約99万円になります。この差は大きいですね。


参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」(厚生労働省)
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html


所定給付日数の一覧表:退職理由・年齢・加入期間で変わる給付日数の全パターン

所定給付日数は、退職理由によって大きく3つのグループに分かれます。自分がどのグループに当てはまるかを確認するのが最初のステップです。


【グループ①】自己都合退職(一般受給資格者)


自分の意思で辞めた場合、年齢は関係なく、加入期間のみで日数が決まります。


算定基礎期間 所定給付日数
1年未満 受給不可
1年以上10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日


自己都合は最大でも150日です。


【グループ②】会社都合退職(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)


倒産・解雇など会社側の都合による離職は、年齢と加入期間の組み合わせで日数が決まります。


算定基礎期間 ~29歳 30~34歳 35~44歳 45~59歳 60~64歳
1年未満 90日 90日 90日 90日 90日
1年以上5年未満 90日 120日 150日 180日 150日
5年以上10年未満 120日 180日 180日 240日 180日
10年以上20年未満 180日 210日 240日 270日 210日
20年以上 240日 270日 330日 240日


45歳以上59歳未満・加入20年以上で会社都合退職の場合、最大330日(約11ヶ月分)もらえます。


【グループ③】就職困難者(障害者など)


身体障害・知的障害・精神障害などがある方は特例措置があります。


算定基礎期間 45歳未満 45歳以上65歳未満
1年未満 150日 150日
1年以上 300日 360日


最大360日が給付されます。一般の自己都合退職(最大150日)の2.4倍です。


同じ退職者でも、退職理由と年齢の組み合わせによって最大330日と90日という大きな差がつきます。まず自分がどのグループかを正確に把握することが重要です。


参考:マネーフォワード クラウド「所定給付日数とは?雇用保険における基本手当の観点から」
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/1879/


所定給付日数と受給期間の違い:ここを混同すると給付日数が消えて損をする

「所定給付日数」と「受給期間」は似ているようで、まったく別の概念です。この違いを知らないと、もらえるはずの給付日数が消えてしまいます。


所定給付日数とは、基本手当を受け取れる日数の上限です。たとえば90日や180日といった数値がこれにあたります。


受給期間とは、その日数を消化できる期限のことで、原則として離職日の翌日から1年間です。


ここが落とし穴です。たとえば所定給付日数が90日ある人でも、退職後9ヶ月間ハローワークへ行かずに放置していた場合、残り3ヶ月しか受給期間が残りません。その間に失業認定を受けられる日数は90日よりも少なくなるため、もらえるはずの給付が「受給期間終了」で消えてしまいます。これは痛いですね。


具体的に計算してみます。月収30万円・所定給付日数90日の場合、基本手当日額は約5,500円です。これを丸々受け取ると約49.5万円になります。しかし退職後に半年間手続きをせずにいると、受給期間の残りは6ヶ月。90日分が6ヶ月(約180日)の中に収まるかぎり問題ありませんが、給付制限期間(1ヶ月)と待期期間(7日)を引くと実質的な余裕はかなり少なくなります。


受給期間の延長制度もあります。病気・けが・妊娠・出産・育児・介護などで30日以上働けない状態になった場合、受給期間を最長3年間延長(合計4年間)できます。延長手続きは離職日翌日から2ヶ月以内が原則ですので早めに動くことが必要です。


所定給付日数と受給期間は別物です。この前提を押さえておけば大丈夫です。


離職票が手元に届いたら、できるだけ早くハローワークへ向かうことが、受給日数を無駄にしない最短ルートになります。


参考:東京ハローワーク「求職者給付に関するQ&A」(厚生労働省)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/kakushu_jouhou/koyouhoken/koyouhoken/QA/kyuusyokusyakyuufu_QA.html


所定給付日数に直結する2025年改正の要点:給付制限1ヶ月短縮と教育訓練特例

2025年4月1日から雇用保険法の改正が施行され、特に自己都合退職者にとって大きな変化がありました。所定給付日数そのものは変わりませんが、「いつからもらえるか」に影響する給付制限期間が変わりました。


改正ポイント①:給付制限が2ヶ月→1ヶ月に短縮


2025年3月まで、自己都合退職では7日間の待期期間のあとに2ヶ月の給付制限期間がありました。つまり退職してから最低でも2ヶ月超は1円ももらえませんでした。2025年4月以降はこの給付制限が原則1ヶ月に短縮され、初回振込が手続きから約1.5ヶ月後に早まります。


ただし例外があります。過去5年間で自己都合退職が3回以上の場合は、給付制限が3ヶ月のままです。


改正ポイント②:教育訓練の受講で給付制限がゼロに


2025年4月以降に自己都合退職した場合でも、以下のいずれかに該当すれば給付制限期間が完全に撤廃されます。


  • 離職前1年以内に厚生労働大臣指定の教育訓練を受講していた場合
  • 離職後に指定の教育訓練を受講し始めた場合(ただし離職後1ヶ月以内にハローワークへ求職申込みが必要)


これは使えそうです。たとえばTOEICや簿記、ITパスポートなど、教育訓練給付金の対象となっている講座を受講していれば、待期期間の7日間のみで基本手当の受給が始まります。


給付制限がゼロになるかどうかは、受講した講座が「教育訓練給付制度」の対象に指定されているかどうかで決まります。受講前にハローワークまたは厚生労働省の検索システム「教育訓練講座検索システム」で確認しておくのが一つの手です。


参考:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除されます」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html


所定給付日数を最大化する視点:算定基礎期間の通算ルールと転職時の注意点

所定給付日数は算定基礎期間(雇用保険加入期間)が長いほど増えます。しかし転職を繰り返す現代では「加入期間がいつ通算され、いつリセットされるか」を正しく理解しておくことが重要です。


算定基礎期間は転職しても通算される


転職した場合でも、前の職場と次の職場の雇用保険加入期間は合算できます。ただし条件があります。前職の離職日から次の会社の入社日まで、空白期間が1年以内であることです。1年を超えた場合は、その前の加入期間は算定対象外になります。


たとえばA社に5年→ブランク6ヶ月→B社に8年勤務した場合、合計13年として算定基礎期間を計算できます。一方、A社を退職してブランク1年2ヶ月経ってからB社に入社した場合、A社での5年分はカウントされず、B社の8年のみが対象です。


失業保険を受給するとリセットされる


失業保険を受給した場合、それ以前の算定基礎期間はすべてリセットされます。次回の離職時には、受給後に新たに加入した期間だけが算定対象になります。受給せずに再就職すれば通算できるため、再就職の見込みがあるなら手続きをよく考えることが必要です。


手続きを急ぐほど算定基礎期間が守られる


退職後に空白期間を1年以上あけてしまうと、前職の算定基礎期間が使えなくなります。たとえば転職活動が長引いて1年以上無職になった場合でも、失業保険の受給手続きをしていれば受給期間中はカウントが止まる形になるため、早期に手続きに行くことが算定基礎期間を守る上でも重要です。


加入期間10年以上が一つの大きな節目です。10年以上になると、自己都合退職でも給付日数が120日と、9年以下の90日より30日多くなります。月収30万円の場合、30日分は約16.5万円の差になります。転職のタイミングや退職の時期を少しずらすだけで、受給総額が変わることがあります。


参考:厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001293213.pdf


所定給付日数を知ったうえで考える:受給総額の試算と再就職手当の活用法

所定給付日数がわかれば、実際にいくら受け取れるかを試算できます。さらに所定給付日数を「消化しきらずに再就職した場合」に受け取れる再就職手当の仕組みも知っておくと、退職後の生活設計が格段に立てやすくなります。


受給総額の計算方法


受給総額は「基本手当日額 × 所定給付日数」で算出できます。


基本手当日額の計算式は以下のとおりです。


①賃金日額 = 退職前6ヶ月の賃金総額 ÷ 180(ボーナス・退職金は除く)


②基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)。賃金日額が低いほど給付率が高く、高いほど低くなります。


具体例を見てみます。月収30万円・自己都合・勤続8年のケースでは、賃金日額は約10,000円、基本手当日額は約5,500円(55%)、所定給付日数は90日です。この場合の受給総額は約49.5万円になります。一方で45歳・会社都合・勤続18年・月収40万円のケースでは、基本手当日額は約6,666円(50%)、所定給付日数は270日で、受給総額は約180万円に達します。退職理由と年齢の差だけで受給総額が約3.6倍になります。


再就職手当で給付日数の残りを受け取る


所定給付日数を残した状態で安定した就職が決まった場合、「再就職手当」を受け取れます。結論は残日数次第です。


  • 所定給付日数の3分の2以上を残して就職した場合:残日数の 70% を一時金で受給
  • 所定給付日数の3分の1以上を残して就職した場合:残日数の 60% を一時金で受給


たとえば基本手当日額5,500円・所定給付日数90日のうち、70日残して就職した場合の再就職手当は「5,500円 × 70日 × 70% = 約26.9万円」です。早期に再就職するほど手当額が多くなる設計になっています。


再就職手当は、申請しなければ受け取れません。就職日の翌日から1ヶ月以内にハローワークへ申請する必要があります。期限が短いため、就職が決まったらすぐに動くことが条件です。




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