

30歳まで使えば安心と思っていると、残額に最大55%の贈与税がかかる場合があります。
教育資金贈与信託(正式名称:直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税非課税措置)は、2013年(平成25年)4月にスタートした時限的な制度です。 これまで何度か延長を繰り返し、現在の期限は2026年(令和8年)3月31日とされています。
関連)https://chester-tax.com/encyclopedia/15759.html
2026年度税制改正大綱では「延長せずに終了(廃止)」という整理が明示されており、制度の継続はほぼないと見るのが現実的です。 三井住友信託銀行では、すでに2026年2月20日をもって新規・追加信託の受付を終了しています。 つまり、これから新たに申し込むことはできません。
関連)https://www.smtb.jp/personal/entrustment/education
この期限はあくまで「新規拠出」に関するものです。期限前に設定済みの契約であれば、その後も教育資金の払い出しは継続して行えます。 既に口座を持っている方は焦らず、使い方のルールを押さえることが重要です。
関連)https://www.smtb.jp/personal/entrustment/education
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度開始 | 2013年(平成25年)4月1日 |
| 新規拠出の期限 | 2026年(令和8年)3月31日 |
| 非課税上限 | 最大1,500万円(学校等以外は500万円) |
| 受贈者の年齢要件 | 信託設定日において30歳未満 |
| 所得制限 | 前年合計所得1,000万円超は適用外 |
参考:制度の詳細な要件と手続きは国税庁の公式ページで確認できます。
国税庁|No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
「いつまで」には、制度全体の期限とは別に、受贈者個人の契約終了タイミングがあります。これが混乱のもとになりがちなポイントです。
原則として、受贈者が30歳に達した日に教育資金管理契約は終了します。 ただし、30歳到達時点で在学中であるか、または一定の教育訓練(厚生労働大臣が指定する教育訓練給付金の対象講座など)を受講している場合は、その旨を信託銀行等に届け出ることで最長40歳まで延長できます。
関連)https://www.shintaku-kyokai.or.jp/products/individual/assetsuccession/education.html
延長後の注意点があります。在学や受講の事実を毎年1回金融機関に届け出なければ、その年の12月31日に契約が終了してしまいます。 届出を忘れると、残額に贈与税が課税されるリスクがあるため要注意です。
関連)https://www.smtb.jp/personal/entrustment/education
参考:信託協会による制度の公式説明(30歳・40歳の扱いを含む)
信託協会|教育資金贈与信託
残額への課税は、この制度の最大の落とし穴です。契約終了時点で使い残しがあった場合、その残額は贈与税の課税対象になります。
関連)https://koyano-cpa.gr.jp/yasashii-sozoku/column/1558/
たとえば、残額が500万円あった場合、基礎控除110万円を引いた390万円が課税対象です。一般税率では390万円×20%−25万円=53万円の贈与税が発生します。 東京ドーム1個分の敷地費用には到底届きませんが、家族の海外旅行数十回分に相当する痛い出費です。
関連)https://koyano-cpa.gr.jp/yasashii-sozoku/column/1558/
相続との絡みも複雑です。信託期間中に贈与者(祖父母など)が亡くなった場合、口座の残額は原則として相続税の課税対象になります。 2023年4月以降に取得した信託受益権については、贈与のタイミングを問わず残額が相続財産に加算されるよう改正されています。 受贈者が23歳未満など一定の条件を満たせば課税されないケースもあるため、状況に応じた確認が必要です。
関連)https://ios-moneyseminar.jp/column/education02.html
贈与税が課税される条件を整理します。
| 状況 | 課税の扱い |
|---|---|
| 受贈者が30歳到達、残額あり | 贈与税が課税される |
| 贈与者が死亡、受贈者が23歳以上・在学外 | 相続税が課税される |
| 贈与者が死亡、受贈者が23歳未満 | 相続税は原則非課税 |
| 残額が110万円以下で契約終了 | 贈与税なし(基礎控除内) |
参考:使い切れない場合の課税計算を詳しく解説している税理士法人のページ
小谷野税理士法人|教育資金贈与を使いきれない!贈与税がかからないケースと対策
「教育資金に使えばいい」と漠然と考えていると、実際の払い出しで弾かれるケースがあります。これが意外と多い盲点です。
費用は大きく2種類に分かれます。学校等に直接支払う入学金・授業料・施設費などは1,500万円まで非課税枠が使えます。 一方、習い事・塾・スポーツクラブなど学校等以外の費用は500万円までが上限です。
関連)https://hokenplanet.co.jp/media/kyoikusikin-zoyosintaku/
さらに、受贈者が23歳以上になると、学校等以外の費用(塾・習い事など)への払い出しは原則対象外になります。 23歳の誕生日を迎えた後に「塾の費用として引き出そう」と思っても、非課税での払い出しができなくなるわけです。これは知らないと損するポイントです。
関連)https://hokenplanet.co.jp/media/kyoikusikin-zoyosintaku/
領収書の提出期限も見落としがちです。払い出しを受けた費用の領収書は翌年3月15日までに金融機関へ提出する必要があります。 提出が漏れると非課税扱いにならない場合があるため、こまめな管理が基本です。
関連)https://www.behavior.co.jp/blog/education-gift-insurance-guide
参考:対象費用の詳細な一覧と事例は文部科学省のパンフレットで確認できます。
文部科学省|教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について(PDF)
制度が終わった後も、教育資金を非課税で渡す方法は残っています。ここが重要です。
まず忘れてはいけない基本原則があります。教育費は「必要な都度、直接支払う」場合、そもそも贈与税の対象外です。 授業料・入学金を祖父母が直接学校に振り込む形にすれば、金額の大小にかかわらず贈与税はかかりません。これは特例ではなく、もとからある非課税ルールです。
関連)https://osd-souzoku.jp/education/
教育資金の長期計画を立て直す場合は、FPや税理士への相談が一番の近道です。特に「まとまった資金を渡しつつ相続税も抑えたい」という場合は、贈与の組み合わせ方によって数十万円単位の差が出ることがあります。各銀行やFP事務所では無料相談も提供しているため、まず1回、具体的な数字を持って相談することをすすめます。
参考:非課税制度終了後の相続・贈与対策の方向性をまとめた専門家のコラム
みらいえ相続|教育資金贈与の非課税制度終了、相続に与える影響と生前対策